先に令和5年の大きな出来事ベスト5を挙げた。
しかし、そこで取り上げなかった極めて注目すべき出来事があった。それは11月22日に西村泰彦·宮内庁長官が定例記者会見で
以下のような発言をしたことだ。「現時点の皇室全体を見渡すと、安定的な皇位継承という
観点からは課題がある。
皇族数の減少は皇室の活動との関連で課題がある」と。この発言が、自民党の総裁直属機関
「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の初会合が
17日に行われた直後だったタイミングに、目を向ける必要がある。
そこでは、会の名前を裏切って、安定的な皇位継承ではなく、
“目先だけ”の「皇族数の確保」でお茶を濁す方向性が示された。
西村長官の発言は明らかに懇談会の裏切り的な姿勢への抗議だろう。安定的な皇位継承に向けた抜本的な取り組みこそが最優先課題であって、
小手先的な皇族数の確保などは二の次だ、と。しかも、皇位継承という国家にとって極めて重大なテーマについて、
岸田政権が目指す方向とは正反対のメッセージを宮内庁長官が
独断で発することなど、できるはずがない。その背後には、他ならぬ天皇陛下ご自身のご意思があると
受け取るのが当然だ。
そのように理解すると、これこそ、令和5年における最も大きな
出来事だったと言うことができる。
政界は「一寸先は闇」だが、皇位継承問題が
進展する可能性も見え始めている。
その場合、出発点とすべきは、西村長官発言の背後にある
天皇陛下のお考え以外にはあり得ない。
追記
12月14日公開のプレジデントオンライン
「高森明勅の皇室ウォッチ」では西村宮内庁長官発言
について取り上げた。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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